テレビ業界の労務管理⑧(アイドルの恋愛禁止)

AKBをはじめ、アイドルは原則恋愛禁止であり、芸能プロダクションでは通常禁止条項を設けています。とはいえ、これを完全に守るというのは難しいようで、アイドルの熱愛報道はしばしば出てきます。恋愛禁止を守れなかった場合には違約条項に従い芸能プロダクションから損害賠償請求されることもありますが、このような請求は認められるのでしょうか。

そもそも恋愛を禁止する条項というのは、そのアイドルが自由な恋愛をするという自己決定権を制約するものです。したがって、条項を破ってしまったからといって直ちに損害賠償請求が認められるというのはちょっと行きすぎです。かといって、アイドルの場合は基本的にはファンにとっての恋愛対象でなければならず、特定の相手との恋愛を禁止するというのは、芸能プロダクション側からすればある種当然のことともいえます。判断が難しいところですね。

判例では、アイドル自身が禁止条項、損害賠償の条項を認識した上で違反しているのであるから損害賠償請求が認められると判断したものと、上記の自己決定権や幸福追求権を重んじ、アイドルが積極的に損害を生じさせようとの意図を持って殊更に交際の事実を公表するなど害意が認められる場合などに限定して損害賠償請求を認めるとしたものがあります。後者の場合だと、損害賠償請求が認められることは滅多になさそうですね。

個人的には恋愛禁止条項における損害賠償の条項というのは、それこそAKBの総選挙で上位にランクインするようなアイドルの場合以外は、実際に損害を補填するためというよりも恋愛禁止を強調するという点に意義があると思われますので、後者の裁判例くらいの解釈が妥当かなと考えます。

 

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