テレビ業界の労務管理⑤(芸能プロダクション)

前回も芸能プロダクションのスタッフの労務管理の難しさを指摘しましたが、労働時間の把握以外にも難しさがあります。

多くの芸能プロダクションでは、タレントが税金対策のために会社を持っていてプロダクションと系列会社のような形にしています。タレントはマネージャーやスタッフに、プロダクションではなく自身の会社の経理の仕事なども任せています。

しかし、タレント個人が持っている会社と経理を担当するそのスタッフとの間には雇用関係はありません。そのスタッフはプロダクションと雇用契約を結んでいるに過ぎないのです。したがって、そのスタッフはタレント個人の会社のことまでしなければならない訳ではないのですが、なんとなくタレントの指示にはしたがうものという頭があるので仕事をしているだけなのです。プロダクションの方も、スタッフがタレント個人の会社の業務を行うことについては特段の意識は持っておらず、むしろ積極的に行わせている場合もあります。

しかし、上記のような関係は、タレントとスタッフの関係が上手くいっているから成り立っているにすぎません。関係性が少しでも悪くなれば、たちまち成り立たなくなるでしょう。成り立たなくなれば、タレント個人が持っている会社は誰が管理するのでしょう。タレント個人は仕訳など、経理の仕事を自らすることはできるのでしょうか。

このような問題が顕在化する前に、スタッフの業務内容につき正確に把握し、整備しておくべきです。プロダクションとの雇用契約の中に、タレントの会社の管理を入れることも可能です。正しい整理を行い、スタッフの業務が無理なく円滑に回るようにしましょう。

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