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テレビ業界の労務管理②

私が元ADということもあり、当事務所ではテレビ業界(番組制作会社や芸能プロダクション)の案件や顧問業務を取り扱っております。昨年はテレビ業界の労務管理につきセミナーを開催させていただいたりもしたので、働き方の特殊なテレビ業界の労務管理についてしばらく連載していきたいと思います。今日はスタッフの職務専念義務についてです。

通常の雇用契約では、就業規則等でスタッフは勤務時間中には職務に専念しなければならないという職務専念義務が定められています。会社はスタッフに対価として給料を支払っているのですから、スタッフが勤務時間に職務に専念するというのはごく当たり前のことです。ところが、テレビ業界の場合は当たり前ではありません。ディレクターは食事に出かけるとなかなか帰ってこない、疲れ切ったADはトイレで寝ている(テレビ局には「トイレで寝ないでください」という貼紙がされていたりします)、リサーチ班はヘッドフォンで音楽を聴きながら仕事をする…ということが当たり前に起きています(もちろんそうではないケースもありますが、業界の雰囲気はこんな感じです)。これでは職務専念義務は全然果たされていないですよね。

こうなってしまいがちなのは、長時間勤務が当然の前提になっているので、勤務しながら休むという感覚が染みついているからではないかと考えられます。スタッフを管理する側も、昔は同じような経験をしているはずなのでやはり感覚が染みついているのです。

また、テレビ業界には、フリーのディレクターなど、雇われていない業務委託スタッフが多いというのも挙げられると思います。業務委託スタッフは労務管理される立場になく、職務専念義務を負っていないので、自分が任された仕事をしている限りは好きな時に好きなことをしていてよいのですが、これを雇われているスタッフも真似していたり、管理する側も誰が業務委託で誰が雇われなのか把握していなかったりするのでこのようなことが起きるのです。

雇われスタッフと業務委託スタッフが混在し、同じ仕事をしているため、雇われスタッフのみに職務専念義務を果たさせるというのは簡単なことではありませんが、雇われスタッフには会社は高い残業代を支払わなければならないのですから、その対価として勤務時間には職務に専念させるということを意識するべきです。まずは雇われスタッフがどれだけ職務に専念しているのかを把握し、職務専念義務違反がある場合には指導・注意を行うという体制を作ることから始めてみていただければと思います。

 

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