弁護士によるマンション管理Q&A⑦

久しぶりのこのコーナーです。

 

Q 管理費を滞納している区分所有者がいて困っています。管理組合はその区分所有者からどのようにして滞納管理費を取り立てることができますか?

 

A 民事訴訟を起こす…ということももちろん考えられるのですが、訴訟は時間も労力も、場合によっては費用もかかるので、最後の手段と考えた方が良いでしょう。

 まずは、管理組合から滞納区分所有者に対し、①内容証明郵便を利用して支払請求をするのが一般的です。滞納金額や支払期限を明示し、支払わなければ訴訟を起こす準備があるなどと記載し、取り立てに対し管理組合が強い意思を有していることを強調します。弁護士に依頼して弁護士名で書面を送付すれば、より強調できるでしょう。

 次に、①内容証明郵便でも支払わない場合には裁判所を通すことになりますが、その最も簡易的な方法として②支払督促を申し立てることが考えられます。支払督促とは、裁判と異なり、実体審理(当事者双方が言い分を述べ、どちらの主張が正しいかを裁判所が判断する)をすることなく、申し立てた者の請求につき、相手方に督促書面を出すという手続をいいます。この督促督促を見た相手方が、2週間以内に異議を申し出ない場合には、その支払督促は、通常の裁判で勝訴したのと同一の効力を持つとされています。支払督促は、実体審理を要しない点で、裁判所を利用する最も簡便な制度といえます。

 ②もっとも、支払督促は、相手方が2週間以内に異議を出してしまうと通常の民事訴訟に移行することとなっています。そうすると、異議が出されるのが目に見えているような相手の場合(すでに支払ったと言い張っているような場合)、訴訟への移行はほぼ間違いなく、通常の民事訴訟を起こしたのと同じことになってしまうので、時間・労力・コストがかかってしまいます。そこで、次なる手段として考えられるのは③少額訴訟です。少額訴訟は、金額が60万円以下の請求につき、原則として1回だけ実体審理を行い(通常の民事訴訟だと、実体審理の期日は何度も開かれ、難解な訴訟だと10回を超える)、その後すぐに判決が出るという制度です。実体審理を行う訴訟であるにもかかわらず、原則として1回で終了するため、簡便な手続です。

 ただし、③少額訴訟は60万円を超える請求では使うことができません。また、相手方が少額訴訟の手続きではなく通常の訴訟に移行させたいと裁判で述べた場合には、通常の訴訟に移行します。このようなケースでは、もう④通常の民事訴訟を行う他ないでしょう。

 上記の他に、先取特権の実行や区分所有権等の競売といった制度もありますが、少し難しいので、また別のQ&Aとして取り上げたいと思います。

 以上のとおり、管理費の取り立てについては色々な方法があります。どの方法をとることができるか、どの方法が実効性が高いか、費用対効果が良いかは、具体的な事案に応じて異なるので、弁護士等専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

 

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