AD時代のこと②-4

深夜0時。スポーツニュースの生放送が始まります。

前日から徹夜でVTRの編集を行ったADは、生放送本番ではテロップ係などを担当します。テロップ係とは、タレントやアナウンサーのいるスタジオではなく、サブ(よくテレビで見る、暗くて前にモニター画面が10個くらいあってスタッフが皆インカムマイクをつけて何やら指示を出している部屋…といえば分かるでしょうか)にいて、あらかじめ他のADやディレクターが作っていたテロップを、ディレクターの指示・合図に従いボタンを押して画面上に入れる仕事です。1日に使うテロップが50枚あるとすれば、1つのボタンに1つのテロップの情報が入っていて、50個のボタンを指示通り間違えないように押すだけなのでそれほど難しい仕事ではありません。ですが、間違えると生放送で変なテロップが流れることになってしまう(たまに見ますよね。)ので結構プレッシャーはあります。寝てないから間違いを起こしやすいというのもありますね。あと、意外と難しいのがボタンを押すタイミングです。画面が切り替わったらテロップを入れるよう指示されていても、切り替わった瞬間すぐにボタンを押してはいけません。切り替わってから1秒くらい待ってから押さなければ見ている人にとって気持ちの良いタイミングにはならないのです(この感覚は上手く伝わらないかも知れませんが、そういう視点でテレビを見ていただけるとすぐに分かります)。

そんな生本番中の作業を終え、午前1時30分ころ、ようやく生放送とその後の全体ミーティングが終わり、ADは帰れることになります。拘束時間24時間超えてますね…。

以上、ADの過酷さ、徹夜のメカニズムをお伝えしてきましたが、実は本当にひどいのはここからで、運が悪いとその日帰る前に別番組のプロデューサーにつかまり、別番組の手伝いに行かされます。そうすると行った先のディレクターは前日からのADの仕事の流れを全然知らないので、「元気いっぱいのADが来たぞ」と最低な勘違いをして、またADをこき使います。書いていて当時の状況をちょっと思い出してきていまいました笑。

こんな生活が続くので皆体や心を壊して辞めていってしまいます。ちなみに私はたった1年しか働いていませんが、同時期に入ったADの中では最後まで残った方です。私が辞めるときは、先輩ADから「こんなにちゃんと辞めていく人を見送るのは初めてだよ」と言われました。他の人は、体調不良で休んでそのまま辞めたり、逃げ出したりして(ディレクターが仮眠して起きると、ADが「さいなら~」と書き置きをして消えていたなんてケースもありました。)辞めていくので、辞めますと言って何か月か働いて送別会的なものをしてもらって辞めるというのはかなり稀なのです。そんな業界です。

以上、4回にわたってADの過酷さ、徹夜のメカニズムを書いてきましたが、上手く伝わってご理解いただけていると幸いです。

 

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