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神奈川労務安全衛生協会藤沢支部セミナー

今日は神奈川労務安全衛生協会藤沢支部にてセミナー講師を担当させていただきました。

最近の労務問題事例を紹介しつつ労務担当者のとるべき対応を考えるという内容であり、昨年注目された長澤運輸事件などを取り上げました。

この事件では定年後の再雇用の際に当該従業員の給与を2割から3割程度減額することが労働契約法に反するかどうかが争われました。おそらく多くの企業で、再雇用の際には給与を減額しているのではないかと思いますが、第一審の東京地裁判決は、再雇用の前後で同じ仕事をしていて、地位も変わらないのに2割以上も給与を減額するのは違法と判断しました。これに対し控訴審の東京高裁は、他の企業の減額割合の統計資料をもとにする等して、この程度の減額であれば違法ではないと判断しました(現在この事件は最高裁で争われています)。

多くの企業にとって第一審の判断は衝撃的だったと思います。法改正で65歳までの再雇用が義務付けられた上に、待遇面もこれまでと大きく変えてはいけないというのは、企業にとっては相当に厳しい判断です。高裁で逆転されたものの、今後も東京地裁のような判断がなされる可能性は十分にあるので、企業は対策を講じなければなりません。

まだ法律も判例も固まっていないので確信をもった助言はできませんが、現状では、企業は再雇用の前後で当該従業員の業務内容を変更する、役職や責任を変更するなど違いを設ける、再雇用の前後での待遇差を少なくとも長澤運輸事件のケースよりも小さくする(2割以内くらいにとどめる)などの対応が求められそうです。固まっていないからこそ危険も多いので、再雇用の問題に直面されている企業の皆さまは、お早めに社会保険労務士や弁護士にご相談いただき、一緒に対応を考えていくことをおすすめいたします。

 

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元AD弁護士によるテレビ業界の労務管理②

私が元ADということもあり、当事務所ではテレビ業界(番組制作会社や芸能プロダクション)の案件や顧問業務を取り扱っております。昨年はテレビ業界の労務管理につきセミナーを開催させていただいたりもしたので、働き方の特殊なテレビ業界の労務管理についてしばらく連載していきたいと思います。今日はスタッフの職務専念義務についてです。

通常の雇用契約では、就業規則等でスタッフは勤務時間中には職務に専念しなければならないという職務専念義務が定められています。会社はスタッフに対価として給料を支払っているのですから、スタッフが勤務時間に職務に専念するというのはごく当たり前のことです。ところが、テレビ業界の場合は当たり前ではありません。ディレクターは食事に出かけるとなかなか帰ってこない、疲れ切ったADはトイレで寝ている(テレビ局には「トイレで寝ないでください」という貼紙がされていたりします)、リサーチ班はヘッドフォンで音楽を聴きながら仕事をする…ということが当たり前に起きています(もちろんそうではないケースもありますが、業界の雰囲気はこんな感じです)。これでは職務専念義務は全然果たされていないですよね。

こうなってしまいがちなのは、長時間勤務が当然の前提になっているので、勤務しながら休むという感覚が染みついているからではないかと考えられます。スタッフを管理する側も、昔は同じような経験をしているはずなのでやはり感覚が染みついているのです。

また、テレビ業界には、フリーのディレクターなど、雇われていない業務委託スタッフが多いというのも挙げられると思います。業務委託スタッフは労務管理される立場になく、職務専念義務を負っていないので、自分が任された仕事をしている限りは好きな時に好きなことをしていてよいのですが、これを雇われているスタッフも真似していたり、管理する側も誰が業務委託で誰が雇われなのか把握していなかったりするのでこのようなことが起きるのです。

雇われスタッフと業務委託スタッフが混在し、同じ仕事をしているため、雇われスタッフのみに職務専念義務を果たさせるというのは簡単なことではありませんが、雇われスタッフには会社は高い残業代を支払わなければならないのですから、その対価として勤務時間には職務に専念させるということを意識するべきです。まずは雇われスタッフがどれだけ職務に専念しているのかを把握し、職務専念義務違反がある場合には指導・注意を行うという体制を作ることから始めてみていただければと思います。

 

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神奈川労務安全衛生協会講演

一昨日神奈川労務安全衛生協会小田原支部の法令講習会で労務問題に関するセミナーを行いました。平塚、厚木、藤沢に続きこれで4支部目です。

このセミナーでは毎回過去に私が担当した紛争事例を扱うのですが、今回扱った事例の中では、食品工場で起きた事故の事例が最も反響がありました。安全配慮義務との関係では工場作業の安全マニュアルはどの程度整備すれば良いのか、作業時に従業員側にも落ち度がある場合の過失相殺の割合など、かなり具体的な話まで扱うことができました。小田原はかまぼこや干物が大変有名なので聴講者の方々にとって食品工場の事故というのは現実的に起こり得る問題と感じられているからでしょう。

 

今月下旬には藤沢支部にて別のテーマでセミナーを担当させていただきますので機会があればこちらも紹介したいと思います。

 

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シティコンサルティンググループ設立

この度、各事件に関する事実調査、資産や信用に関する調査、会社の創業支援や経営改善などをサポートすべく、一般社団法人シティコンサルグループが設立され、私も理事として参画させていただくことになりました。

新法人の特徴は、士業同士が協同し、士業の過去のキャリア(警察など)も生かしながら、各案件に最も相応しい士業が事実調査等の業務にあたるという点にあります(調査を行うのは法人ではなく、あくまで各士業個人になります)。

例えば私でいえば、マンション管理組合のご相談をよく受けますが、マンションの区分所有者から、マンションの理事長が管理会社とべったりで総会や理事会も形骸化していて機能しておらず、それを良いことに理事長が不正経理を行っているので何とかしたいという相談を受けたとします。この場合、まず理事長が本当に不正経理を行っているのかを調査する必要があります。区分所有法やマンション管理規約に基づき、場合によっては弁護士会を通じた照会をかけて帳簿等の開示を請求します。次に、開示された資料を確認する作業に移るのですがこの時に、会計士や税理士にも入ってもらい、的確な不正調査を行います(我々弁護士一定の不正調査はできますが、やはりその専門家は会計士、税理士です)。そして、不正の事実が明らかになれば、後は弁護士が理事らに対し法的責任を追及するということになります。

この過程で重要なのは、各士業がその能力を生かして調査や必要な手続にあたるということ及び各士業がバラバラではなく一緒に相談に入るなど、完全に協同して事件解決にあたるということです。士業同士は横のつながりがあることは珍しくありませんが、関係性としては他士業を紹介できるという程度なのが通常です。新法人はこれを一歩進め、複数の士業が個々に事件を受任した上で、一緒に相談に入ったり、案件の情報を常時共有してそれぞれの士業の角度から案件を分析し、最善の調査を行い、解決を目指します。弁護士に相談したら、これは税務に関する問題だから税理士に相談するよう言われ、その後税理士に相談したら、裁判になったりした場合にこちらはどうすることもできないので弁護士に相談するように言われ…当法人ではこのようなことは起こりません。

問題を抱えているけれども、そもそもどの専門家に聞けば良いのか分からない、裁判を起こしたいけれども、どうやって、誰を頼って証拠を集めたら良いか分からないなど、相談先が分からずにお悩みの方は是非一度シティコンサルグループまでご連絡下さい。

 

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杉並第八小学校職場体験

先月のことになりますが高円寺パル商店街のご紹介で、杉並第八小学校6年生の職場体験に講師として参加してきました。職場体験というのは、私の場合は弁護士、他にも例えば看護師や保育士など、子供たちが学校の先生以外の仕事に就いている大人と触れ合い、その仕事がどんな仕事なのか、やりがいや苦労話などを聞いて学ぶという授業です。

小学生に弁護士の仕事を伝えるのは非常に難しかったです。どうしてもテレビドラマや漫画に出てくる弁護士の印象が強い(今は99.9の松本潤のイメージが強いようでした)ので、実際はかなり地味な仕事であることを伝え、そのイメージを払拭するところから始めました。子供たちからすればイメージを払拭してしまうと弁護士の魅力が半減してしまいそうですが…まあ現実を知ってもらうのが授業の目的なので。

授業後には、子供たちと一緒に給食をいただきました。学校問題の案件を頻繁に扱っているので、高校生や中学生と話す機会は結構ありますが、小学生との交流はほとんどなかったのでフリーで話せるのはとても楽しかったです。とにかく元気でした。特に女子が元気で、男子はクラスに4人しかいない(女子は17人)のもあって完全に押されている感じでした。

職場体験はこちらにとっても貴重な体験で、これからも機会があればと思っていたのですが、この小学校は統廃合になってしまうとのことでした。残念ですが、他の学校でも機会があれば是非また参加しようと思っています。

 

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テレビ等番組制作スタッフの労務管理

テレビの番組制作会社からご依頼をいただき(以前勤務していた会社ではありませんが)、会社と番組制作スタッフ(特にディレクターやAD)の業務委託契約の在り方や労務管理の問題点に関するセミナーを開催しました。

まず多くの番組制作会社では、ディレクターを自社で雇用するのではなく業務委託の形で仕事を委託する形をとっています。私のいた頃と違い、テレビ番組の制作は7、8割方の作業はパソコンでできてしまうので、ディレクターは会社にいる必要はないですし、制作過程でディレクターが誰かに指揮命令される訳ではないので、雇用するのではなく業務委託の形でも良さそうです。しかし、常にそれで良いかと言えばそうではなく、問題が生じるケースもあります。

例えば生放送のニュースの1コーナーの制作を担当するディレクターの場合、取材をして、持ち帰った映像を編集して、生放送中はV出しをして…となると、取材ではプロデューサーの指示を受け、生放送中の業務ではチーフディレクターの指示を受けることになります。そうすると実質的には雇用されており指揮命令関係があるのではないか?という風にも見えます。また、テレビ番組制作の現場では、複数の番組制作プロダクションからスタッフが来て、ディレクターやAD業務を担当しています。現場のトップは、彼らがそれぞれの会社でどのような形で雇用や業務委託契約を交わしているのかはっきり分かっていないケースもあります。その結果、業務委託の内容を超えた指示を出してしまうことも考えられます。他にも、例えば業務委託されたディレクターと派遣社員であるADの2人で災害の現場に取材に行く場合、ADの勤務時間は誰がどう管理するのか?危険な現場の場合ADの安全には誰がどう配慮するのか?などの労務管理上の問題が生じます。

セミナーでは上記のような問題につきスタッフと一緒に考え、問題意識を共有し、解説を行いました。改めて考えてみても、テレビ業界のスタッフの働き方というのは本当に特殊で複雑です。しかし、残念ながら法はそのような特殊な働き方を想定して作られていないので、多くの番組制作会社がスタッフの業務委託や雇用の整備に悩んでいるのが現状だと思います。元AD弁護士である私としては、このような問題の解決、勤務等の形態の整備にこそ私を使ってほしい考えておりますので、セミナーでも実際の勤務等の形態の整備のご相談でも、お気軽にお声掛けいただければと幸いです。

 

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弁護士によるマンション管理Q&A⑬

Q マンションの区分所有者の1人が5年前から月額32000円の管理費を滞納し続けており、その総額が192万円になっていましたが、先日事故により亡くなられました。相続人は、妻と息子と娘がいます。マンションは息子と娘が半分ずつの持分で相続したとのことです。現在マンションには妻が一人で住んでいます。マンション管理組合は、滞納管理費を誰にいくら請求できるのですか?

 

A 被相続人が死亡する前にすでに発生していた滞納管理費は、被相続人の死亡と同時に、特段の手続をとることなく、各相続人に法定相続分の割合にしたがって相続されることとされています。そして、この結論は、誰がマンションを相続したか、また、誰が現在居住しているかによって左右されません。

 したがって、今回の相続人の法定相続分は、妻が2分の1、息子が4分の1、娘が4分の1ですので、このマンション管理組合は、妻に96万円、息子、娘にそれぞれ48万円を請求することができるということになります。

 

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