神奈川労務安全衛生協会講演

一昨日、恒例の神奈川労務安全衛生協会平塚支部での講演を開催させていただきました。いつもは労務部の部会で講演させていただくのですが今回は安全部での講演ということで、安全配慮義務違反を扱いました。

安全配慮義務という言葉は会社で労務管理を担当されている方であれば誰でもご存じだと思いますが、法律にはっきりと定められておらず(労働契約法の制定でようやく定められましたが、具体的な義務内容までは規定されておりません)、どのような場面でどの程度の義務を負うのか、また誰が義務を負うのか良く分からないというのが正直なところではないかと思います。講演では、こういうケースでは判例はここまでの義務を認めている、ここまでの対策を講じていれば義務を果たしたと認めているという分岐点を紹介しました。

また、労働安全衛生法では会社が講じるべき安全対策が規定されていますが、労働安全衛生法上の義務と安全配慮義務は同じなのか?違うのであれば何がどう違うのか?労災保険の給付と安全配慮義務違反による民事上の損害賠償義務はどのような関係に立つのか?といった労務担当者にとってのかゆいところを解説しました。

平塚支部では12月にも安全配慮義務に関する講演を開催させていただきます(こちらは主に過重労働を扱う予定です)ので、関心のある労務担当の方は是非ご参加いただければと思います。

 

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学校における法律トラブルQ&A②

Q 高校2年の子が同級生に暴力を振ってしまい、学校から退学処分にすると通告されています。本人も親も、何とか退学だけは避けたいと思っているのですがどうすれば良いでしょうか?

 

A 学校側が処分をする前に弁護士を入れて学校と交渉すべきです。

まず、交渉にあたっては事実関係を整理しましょう。暴力行為は事実なのか、暴力の態様や程度はどうなのか、暴力の原因は何だったのか、暴力は日常的だったのか、暴力を振るわれた同級生はどう思っているのか、こういった事実を丁寧に、正確に把握することが重要です。学校問題の場合、実際の行為者は生徒であるのに対し、交渉を行うのは保護者であるため、学校側と保護者側が確認・認識している事実に齟齬があることが多く、そのために交渉が上手くいかないというケースがしばしば見られます。学校側と交渉を行うための大前提といえます。

事実関係の整理の次は、事実に争いがあるのであれば、事実を争います。学校側に多方面への事実調査の依頼をするなどして、交渉の中で真相解明に努めます。

事実に概ね争いがない場合には、処分の重さを争います。今回の暴力が本当に退学処分に値するものなのかどうかを考えるということになります。退学処分というのは生徒に対する最も重い処分ですから、慎重に判断されなければなりません。生徒の素行に問題があったとしてもそれだけで退学処分とできる訳ではなく、今後指導を行っても改善される見込みがないと判断される場合に初めて退学処分を行うことが許されるのです(このような判断を行った裁判例があります)。

したがって、学校側との交渉の中では、生徒が今回の行為を真摯に反省していること、保護者のこれまでの指導不足を認めた上で今後は十分な指導を行うことを約束することなどを伝え、学校側が、生徒に対し改善見込みがないと判断しにくくさせることが重要になります(生徒・保護者側も感情的になってしまっているケースでは、学校の処分の不当性にばかり目が行ってしまい、これができていないことが多いのです。)。また、交渉は一度だけでなく、担任、学年主任、副校長、校長など多くの先生と話す機会をもらい、粘り強く行い、学校側が改善見込みにつき十分な検討ができる状態にしましょう。

退学処分の場合、処分を受けてから事後的に裁判等で処分の無効を争うのは厳しいので(裁判には時間がかかるので、それまで生徒の立場が不安定になってしまい、他の同級生と同じように学校生活を送ることは難しくなってしまいます)、処分を受ける前に早期に弁護士に依頼し、交渉を開始することも重要です。

 

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学校における法律トラブルQ&A

これまでマンション管理やテレビ番組制作、芸能プロダクションの法的問題につきQ&Aのコーナーを作って解説してきましたが、当事務所が他分野で力を入れている学校問題についてもQ&Aで紹介していきます。

 

Q 私は私立の高校で教師をしていますが、先日、生徒たちが全然言うことを聞かないのに腹が立ってしまい、生徒の胸倉をつかんでしまいました(生徒を叩いてはいません)。そうしたところ、後日生徒の保護者が学校に来て、担任の先生に胸倉を掴まれて叩かれたと怒鳴り込まれました。

校長先生や学年主任の先生は、私に生徒と保護者に謝罪するよう言ってきていますが、私としては、自分に全く落ち度がなかったとは言いませんが、叩いてもいないのに叩いたことを認めて謝ることはできません。どうすればよいでしょうか。

 

A 学校における法律トラブルは、学校側と生徒側という大きな対立構造がありますが、相談者のように教師にも学校とは別の言い分がある場合があり、その場合には学校対生徒だけでなく、教師対生徒、教師対学校という対立構造も生じます。このような場合には教師は学校にしたがって動くか、自分の考えを貫き学校と対立することも辞さないとするか選択しなければなりません。

事例において相談者がまずすべきことは、学校(校長先生や学年主任)とよく話し合うことです。学校側がどこまで自分を守ってくれるのかを確認することです。学校と良く話し、叩いていないという自分の言い分を信じてくれるということであれば、自分の言い分を貫くべきです。学校全体で聴き取り調査などを実施すれば真実が明らかになるケースは多いでしょう。

問題は学校が信じてくれない、または、信じてくれてはいるが大事にしたくないために謝罪を命じる場合です。自分の考えを貫くことと、学校の命令に背くことにより生じる不利益を天秤にかけなければなりません。このような場合にこそ、学校側とよく話し合う必要があります。安易に謝罪することの危険性につき十分に話し合うことが重要です。叩いたのが事実でないにもかかわらず謝罪することで、生徒(周りで見ていた生徒も含め)は、保護者が出ていけば学校は謝ると理解し、今後さらに言うことを聞かなくなってしまい指導ができなくなってしまいます。そうなれば、今後もっと大きな問題が起こってしまうかも知れません。謝罪をすればその問題だけは解決できるかも知れませんが、長い目で見れば正しいとは限りません。目の前の生徒(保護者)だけでなく、そういった今後のことまで十分に考慮しての判断なのか、よく確認しましょう。相談者が、学校との話し合いにより納得のいく回答が得られない、学校と利害対立してでも主張を貫き通したいという判断に至った場合には、弁護士が入り相談者の権利・利益を守ります。

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レインボー高円寺店

今日は相談会の話ではないのですが、散髪のために高円寺に行った帰りに、パル商店街を出てすぐのところ(西友の隣)にあるレインボー高円寺店に行ってきました。

レインボー(RAINBOW CAFE&GRILL)は、高円寺に本店があり、阿佐ヶ谷、下北沢、三軒茶屋など、なんとなくいい感じの街(青山や恵比寿ではない、なんとなくいい感じの街)に店舗のあるダイニングバーです。今はなくなってしまったのですが、今年の初めまで幡ヶ谷にも店舗があり、幡ヶ谷に引っ越して来てから2年で100回以上は通った店です。レインボー幡ヶ谷店の元店長(現高円寺店店長)には本当にお世話になりました。彼女の人懐こさのおかげで他の常連さんたちと仲良くなることができ、常連さんたちと幡ヶ谷の他の店にも行くようになり、いまでは幡ヶ谷の居酒屋を制覇しつつあります。

高円寺店に行くと、店長はやはりお客さんみんなと完全に友達になっているようであり、活気もあってほぼ満席状態でした。ちなみに料理も無添加にこだわっていて本当に美味しいし(でなければ2年で100回も行きません)、酒の種類も豊富です(私は勝手に馬鹿でかいサイズのハイボールを出されるのであまり自分で頼んだことありませんが…)。

とにかく色々な意味で抜群におすすめの店なので、高円寺近隣にお住まいの方は是非一度行ってみてください!あ、ちなみに明日まで飲み放題(ビールもワインも何でも)1時間777円らしいです!

 

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テレビ業界の労務管理⑧(アイドルの恋愛禁止)

AKBをはじめ、アイドルは原則恋愛禁止であり、芸能プロダクションでは通常禁止条項を設けています。とはいえ、これを完全に守るというのは難しいようで、アイドルの熱愛報道はしばしば出てきます。恋愛禁止を守れなかった場合には違約条項に従い芸能プロダクションから損害賠償請求されることもありますが、このような請求は認められるのでしょうか。

そもそも恋愛を禁止する条項というのは、そのアイドルが自由な恋愛をするという自己決定権を制約するものです。したがって、条項を破ってしまったからといって直ちに損害賠償請求が認められるというのはちょっと行きすぎです。かといって、アイドルの場合は基本的にはファンにとっての恋愛対象でなければならず、特定の相手との恋愛を禁止するというのは、芸能プロダクション側からすればある種当然のことともいえます。判断が難しいところですね。

判例では、アイドル自身が禁止条項、損害賠償の条項を認識した上で違反しているのであるから損害賠償請求が認められると判断したものと、上記の自己決定権や幸福追求権を重んじ、アイドルが積極的に損害を生じさせようとの意図を持って殊更に交際の事実を公表するなど害意が認められる場合などに限定して損害賠償請求を認めるとしたものがあります。後者の場合だと、損害賠償請求が認められることは滅多になさそうですね。

個人的には恋愛禁止条項における損害賠償の条項というのは、それこそAKBの総選挙で上位にランクインするようなアイドルの場合以外は、実際に損害を補填するためというよりも恋愛禁止を強調するという点に意義があると思われますので、後者の裁判例くらいの解釈が妥当かなと考えます。

 

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2年半前に幡ヶ谷に引っ越してきて最初にできた飲み友達が、家族で幡ヶ谷に飲食店を開店しました。ちょっと感慨深かったのでオープン初日に早速行ってきました。

和食がメインですが、シュウマイ、餃子、麻婆豆腐など中華メニューも充実しています。厨房に入っている友達の弟さんは都内でも有名な中華料理店で働いているのもあり、中華メニューは本当に本格的かつ絶品です。それでいて居酒屋価格なのが嬉しいです。幡ヶ谷近隣にお住まいの方は是非一度お試し下さい!

 

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改正個人情報保護法

先日、顧問先で従業員向けセミナーを行ってきました。個人情報保護法を中心とした企業が気を付けなければならない個人情報の管理についてです。

個人情報保護法の改正(来月施行されます)で、法律の適用範囲が大幅に広がりました。現行法では取り扱う個人情報の数が5000件以下の企業は適用から除外されていましたが、今回の改正でこの規定が撤廃されました。これにより、個人情報を1件でも持っている事業者には個人情報保護法が適用されることになります。つまり、ほぼすべての企業、事業者に適用されるということです。この改正を受け、多くの中小企業は個人情報の取得、管理の見直しに取り組んでいます。

ただ、セミナーを開催してみて感じたのは、企業にとって必要なのは、個人情報保護法の改正に対応するということよりも、まずは個人情報に関する規制、リスクを正しく理解するということです。例えば、個人情報保護法に照らして問題がないからこの情報は開示しても大丈夫、などと思っていると、個人情報保護法との関係では適法でも、対象となる個人のプライバシー権を侵害するものであれば民法上の不法行為にあたり損害賠償請求を受けてしまうこともあります。逆に、個人情報保護が騒がれているからといって、その企業に必要に迫られている訳でもないのに高額な費用をかけてプライバシーマークを取得してしまい、従業員研修などで業務を停滞させてしまうという勿体ないこともあります(プライバシーマークというのは、企業が個人情報保護につき一定の水準をクリアしていることを表示するものですが、個人情報保護法が要請しているものではないため義務的なものではありません。その割に、取得に際しては上記の研修など結構な負担を要します)。

このように個人情報保護関連の法規や制度は、その位置づけや、誰が誰を規制しているのか、何が法的義務で何が努力目標なのかなど、結構ややこしくて理解が難しいところがあるため、企業におかれましては、まずはそのあたりの整理、理解からはじめていただくことをおすすめします。

 

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